水嶋ヒロ氏が思い描く住居をカタチにする −完成編−

前回の企画編では、水嶋さんに住まいと暮らしについて具体的なイメージを伺いました。今回はヒアリングを踏まえてリノベーションのプロが細部までこだわって作り上げた、“水嶋リノベ”のプラン・CGパースを公開します。「ここに住むことを想像するだけでも凄くワクワクする」と水嶋さんが笑顔になった住まいのカタチを、ぜひご覧ください。

水嶋:今日は楽しみにしていました。前回は上手く説明できたかどうか不安なところもあったのですが、CGパース作成は大変でしたか?
※前回の記事”企画編”はこちらから
https://menoreno.jp/club/article/30

鎌田:いえいえ。リビングや寝室もかなり明確なイメージもいただいていましたし、ヒアリングでおっしゃっていた「アイデンティティーと密接な関係がある」という考え方についても、自分のなかで腹に落ちる感覚がありました。なので内容を持ち帰らせていただいたあとは、割とスムーズに進んだと思います。

水嶋:本当ですか、ワクワクしてきました。

鎌田:では、さっそく見ていただきましょうか。

入って目を引くドーム天井
落ち着きのある空間で気持ちをリセット

鎌田:まずこちらが間取り(ゾーニング図・プラン図)です。大きく分けて、右側はゲストの方も招待するリビングも含めたパブリックな空間。左側はベッドルームや子ども部屋、またバスルームなど生活のベースとなるプライベートな空間という設計にしました。

設計図

ゾーニング図

プラン図

プラン図

水嶋:役割を明確に分けたんですね。

鎌田:そうですね。リノベはこういったゾーニングを最初にざっくりとでも決めておかないと、プランニングが後々になってちぐはぐになりがちです。今回は水回りの配管位置を見据えながら、生活動線を右と左で分けました。
では間取りとともに、CGパースを見ていきましょう。

※ゾーニング:空間をテーマや用途に分けて考えること

玄関と廊下のつながりは、色と雰囲気を合わせたタイルと無垢のフローリングで一体感のある床で構成。ホールの途中には家族の写真やアートを飾れる壁面ギャラリーを配置

エントランスから見たホールイメージ

エントランスから見たホールイメージ

鎌田:エントランスから見た室内のイメージです。フローリングの質感に近いタイルでエントランス側の床をつくり、その流れで無垢のフローリングをホールに張り込むことでエントランスホール全体の一体感を演出させます。

水嶋:玄関は土間と廊下を特別に区切らない、というイメージを反映していただいてますね。

鎌田:そうですね。入ってすぐの廊下の腰壁にはクラシカルなパネルで上品さを演出しつつ、ギャラリーとして壁面にアートやご家族の写真を飾れる空間を設計しています。また入ったときにパッと抜け感が出るように、ドーム天井で立体的なアイスポットをひとつ作りました。

水嶋:凄い。開放感もあっていいですね。この時点で、ゲストの方に「どこにリノベーション頼んだの?」って聞かれそう。奧に見えるのが……

鎌田:衣装フィッティングルームです。前回の打ち合わせで水嶋さんから提案をいただいた、アイランド型のテーブルを配置しています。

室内中央にはガラス天板のカウンターシェルフを配置。両サイドに床から天井まで造作のキャビネットを配置して収納スペースを確保

ウォークインクローゼットイメージ

ウォークインクローゼットイメージ

水嶋:凄くいいですね……。こんな空間があったら、洋服を選ぶのが毎日楽しくなると思います。統一感もあって、ここだけ見ると海外にいるみたいですね。このテーブルの天板はガラスですか?

鎌田:そうです。アクセサリ類など、最上段に収納したものが見えるように設計しています。造作について、棚板の収納はすべて可動式にすることで、収めるものによって高さを変えられるようにし、下の段は引出し収納にすることで、奥の方まで見渡せて使いやすくしています。ハンガーパイプには上着類をかけ、パッと見てすぐに何がかかっているか分かるようにしています。また奥行きもあるのでハンガーパイプを手前と奥とで2列に配置し、収納量を多く確保しています。

水嶋:この可動式の棚に靴のコレクションも入れて、ここで靴と一緒にコーディネートを完結できてしまうようにするのもいいかもしれないですね。

鎌田:それもいいですね。

水嶋:ふたつ鏡を置いて夫婦同時にコーディネートすることもできそうですし。洋服はきちんと特徴を分けて管理できるに越したことはありません。こうしてきちんと分類した上で収納できて、どのセクションも目に届くかたちで機能的に管理できていると、コーディネートの質まで変わってきそうです。

鎌田:そうですね。ちなみにこのウォークインクローゼットのスペースはもっと広げてもよかったのですが、隣接するリビングダイニングとの兼ね合いも踏まえて、この広さに設計しています。さっそくリビング見てみましょう。

開放感のあるリビングは
段差による目線の変化がポイント

水嶋:わあ……ここもインパクトがありますね。

チャコールグレー(修正ポイント)で塗装されたシンプルな空間。天井の照明は埋め込み式で空間の邪魔をしない設計

LDKのbefore画像

リビングダイニングイメージ

鎌田:リビングダイニングルームの空間設計で大切にしたのは、抜け感や開放感です。そのため、いくつか段差を設けて目線の高さに変化をつけています。まず、目に飛び込んでくるのが床を一段掘り下げた窓際のエリアかと思います。

水嶋:海外では珍しくないのですが、日本の住居でこういった窪み状の空間作りはほとんど見たことないですね。行ったことのあるリゾートでは子どもがこうした中に入って遊んでいるのをよく見ましたが、そこで過ごしてみると大人の自分でも不思議と落ち着くんです。目線の高さが床に近づくだけで、居心地が変わるんでしょうね。
 ソファに腰をかけてワークスペースとして作業もできそうだし、そばにいる子どもとコミュニケーションも取れる。ロールスクリーンを設置して、ここで映画鑑賞をしたりゲストの方とサッカーの試合を鑑賞したりするのも楽しそう。

鎌田:いいですね。

水嶋:ちなみに、日本のマンションでこういった窪み状の段差を設けているリビングを見たことがないのですが、お願いしたら簡単にできるものなんですか?

鎌田:各マンションで構造が違うので全てのマンションで出来るとは言えませんが、可能なケースもあります。少し専門的な話になりますが、階高を高くとっている構造のマンションや中高層建設物(高さ30Mくらい)においては、低層階の階高を高くとっているケースがほとんどです。ですので、比較的下層階の方が天井の高さが高く、今回ご提案のように全体の床を上げて一部を窪ませ、高さに変化をもたらすことが可能になります。

水嶋:そうなんですね。まさにそういう設計の自由度もリノベーションならではですね。

鎌田:では、つづいて寝室を見てみましょう。

ステップを設けて部屋自体の高さを低く設計したマスターベッドルーム。壁面はニッチ(窪み)を作って写真や小物を飾れるように設計

寝室のbefore画像

マスターベッドルームイメージ

鎌田:マスターベッドルームはステップを設けて、ここは敢えて天井の高さを低く感じるように設計しています。

水嶋:天井が高すぎるとどこか落ち着いて眠れない、という要望を反映していただいたんですね。ヘッドボードの照明も直接目に入ってこない形で良いですね。気持ちよく快眠できそうです。海外のアン・スイート(バスルーム付きの部屋)のように、バスルーム付きなのも良いですね。

鎌田:そうです。ここは生活動線を踏まえて、パウダールーム、バスルームとつながっています。パウダールームはボウルを2つ設けて、家族全員がゆとりのある使い方ができるようになっています。あと壁面にはワイドな鏡を一面とりつけて、スタイリングしやすい仕様を想定しています。

リノベだからこそ追求できる
住まいのカタチづくり

鎌田:一通りこの住まいのポイントは説明しましたが、リノベーションはそこに住む人の理想をカタチにするものです。なので、ぜひ水嶋さんのほうからも「もう少しここがこうだったらいいのにな」というご要望があれば、教えていただけませんか?

水嶋:すでにこちらの要望で作っていただいたものだと思うんですが、そこからさらに手を入れて頂けるんですね。そうですね、せっかくなので頂いたご提案を踏まえた上で、より自分らしい形にしていければと思います。ちょっと抽象的な言い方になりますが、全体の色調はもう少し明るめが良いです。

鎌田:シックな色合いというより、方向性としてはナチュラル寄りの……。

水嶋:そうですね。個人的にはフローリングやその他使用する木材部分を淡く、全壁面や天井を白に仕上げていただいたものを一度見てみたいです。

鎌田:いいですね。室内の表情も明るくなって居心地も変わりそうです。

修正後の完成CGパースがこちら

マスターベッドルームイメージ

マスターベッドルームイメージ

水嶋:あと、リビングダイニングルームそばの和室は、室内のトーンと調和することを優先すると、なくて良いかもしれません。その分リビングを広げて、子供が遊んだりもできる多目的スペースにしたいなと。その他細かい変更希望は口頭で挙げていくと長くなるので、一度箇条書きにしてメールさせてください。

鎌田:そうですね。ここは障子を配置しているので、いわゆる一般的な畳の色という固定概念から離れても和テイストの上品さは損なわれないかも。

修正後の完成CGパースがこちら

リビングダイニングイメージ

リビングダイニングイメージ

鎌田:間取りや設備的なところでは?

水嶋:ゲスト用にトイレがもう一つあってもいいのかな、と思いますが、これは住宅の条件次第というところだと思います。
 ここまで自分らしくできるお膳立てをしていただいている状態だと、実際に住んでから自分で肉付けしていく過程も楽しめそうですよね。

鎌田:おっしゃる通り、住まいは住む方が“肉付け”して初めて完成するものだと思います。我々ができることは、あくまでその橋渡しなんですね。余白の部分は、実際に住む方と相談しながら決めたり、何なら住んだあとに手を入れたりしてもいいんです。たとえばこの間取りだとキッチンと子ども部屋が隣接していますが、「そこに自然と会話が生まれるような小さな窓や穴を開けたい」という要望があれば、我々も喜んで対応させていただきます。

水嶋:住む人とコミュニケーションを取りながら作っていける、ということですね。

鎌田:今回は水嶋さんのご要望をもとにCGパースでカタチにしましたが、この完成形も我々だけでは作れません。むしろ、今回はこちらの引き出しになかったイメージやアイデアをたくさんいただきました。

水嶋:本当ですか。ありがとうございます。そういえば前回は「住まいはテーマがあったほうがいい」という話をしましたが、今回作業する上でそういう軸となるコンセプトはありましたか?

鎌田:ご家族との時間や洋服に対する思いなど、水嶋さんが大切にしていることを中心に置いて設計しました。なので、今回の住まいを名付けるなら「自分回帰の家」かと。たとえば仕事から帰宅して一旦リセットして、自分自身が大切にしている人やものを取り戻すような。

水嶋:なるほど、そこまで考えてくださっていたのですね。ただ、「自分回帰の家」は、僕だけでなく、誰にとっても当てはまることかもしれません。
 住まいはライフスタイルのベースとなる存在です。それに人生のうち多くの時間を過ごす自分の住まいについて、こうしてリノベーションで好みを追求することは、生活の質にも直結することだと思います。ちょっと大袈裟かもしれませんが、どうせならそこを終の棲家にしたいと思えるくらい、自分自身が愛着の持てる住まいで暮らしたいと、投資目線での購入でない限りは心のどこかで誰もが願っていると思います。

 たとえば家で過ごす何気ない1時間でも、自分のアイデンティティと向き合って作りあげた環境で過ごすのと、そうでない環境とでは、時間の豊かさがまったく変わってくると思います。

鎌田:そうですね。どういう住まいかによって、家で過ごす時間の質は変わってくるでしょうね。

水嶋:今回はリノベーションをきっかけに、自分が大切にしているものを改めて再確認できて、この過程が凄く楽しかったです。やっぱり不動産は面白いですね。
 ……こんな家あったらいいですね。実際にこの物件があったら、買いたいくらいです。

鎌田:ありがとうございます。いつでもご連絡ください(笑)。

水嶋:ぜひ機会があればよろしくお願いします!(笑)

“水嶋リノベ”の設計を終えて……

エントランスから見えるドーム天井の開放感、アイランド型のテーブルを配置した衣装フィッティングルーム、窪み状の段差のあるリビングダイニングルームなど、ユニークなポイントが詰まった“水嶋リノベ”はいかがでしたでしょうか?  ただ、これらはあくまで水嶋さんが思い描く一例です。家族構成や価値観によってライフスタイルが異なるように、理想の住まいもそこに住む人によってさまざまな表情に変わるはずです。たとえひとつだけでも、もしあなたが理想とする住まいのこだわりがあるなら、選択肢を諦めずにぜひリノベーションを検討してみてはいかがでしょうか?

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https://menoreno.jp/

<人物紹介>

水嶋 ヒロ(Hiro Mizushima)

1984年生まれ、東京都出身。2005年より俳優として数々の話題作に出演。日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。近年では、語学を活かし米国ドラマ「Girls」(HBO製作)に出演するなど、海外でも活躍の場を広げている。株式会社3rd i connections代表取締役社長。株式会社じげんCLO(Chief Lifestyle Officer)。magellan resorts & trust 株式会社Branding Director。

鎌田 友和(Tomokazu Kamata)

国内最大級リノベーションネットワーク『リノベ不動産』を運営する、株式会社和久環組(ワクワク)代表取締役。 社名である「ワクワク」のとおり、「いままでにないワクワクを!」をテーマに、日本の住まいをもっと豊かにすることを追求するため、従来の業界の枠組みを超えた革命を起こす。お客様に寄り添う形で、資金計画から不動産購入、設計・デザイン、リノベーション工事、入居後のアフターサービスまでを
ワンストップで対応し、百人百色の自分らしい理想の暮らしを実現。ミッションは「日本住を愉快に!」ヴィジョンは「世界のQOLを最大化する!」現在、全国38都道府県170拠点超を全国に展開する業界の革命児。

<リノベ不動産>
https://renovefudosan.com/

<撮影協力>

取材・文:田中 雅大(ペロンパワークス)/撮影:MEGUMI(DOUBLE ONE) 
/スタイリスト:徳永 貴士
衣装:シャツ¥40,000/ポエム ボヘミアン(リフト エタージュ)
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町16-5 アドレスガーデン代官山1F / 03-3780-0163

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