水嶋ヒロ氏が考えるこだわりのモノと空間

水嶋さんの住まいはなるべくモノが増えないように、「最低限のシンプルな空間をベースにワクワクする足し算を時間をかけて吟味する」ことを意識しているそうです。 では、そこに選ばれるモノはどういう基準で選ばれ、どのように生活空間は設計されているのでしょうか? ライフスタイルと密接な関係を持つご自身の住まいづくりのルールとともに、将来思い描いている理想の住居の条件について、お話を伺いました。

ライフスタイルの質を高めるために
なるべく意味のないモノは置かない

ー現在のお住まいも含めて、住居内の空間づくりや家具等について、何かこだわりはありますか?

意識しているのはなるべく意味のないモノを置かないことですね。もちろん長く使い続ける大切なモノや家具はありますが、「あ、これ今使っていないな」というモノは思い切って処分する。というのも、生活の容れ物である家のなかにモノが増えると、それだけノイズが増えて落ち着かなくなるというか。

たとえば「雑貨」っていう言葉は、本来はカテゴリ分けしにくい名前がぼんやりとしたアイテムの総称ですよね。それを踏まえると、自宅には役割がハッキリしない「雑貨」という概念のモノはないんです。ちょっと格好つけた言い方ですけどね。きちんと自分たちで選択して目的のあるものを、なるべく最小限に選んで暮らしていくことを心がけています。

ーとはいえ、なかなかモノを捨てることって、難しいですよね。

引き算をすることは自分達が今どういった感性や価値観を備えていて、何を大切にしたいと思っているか、ライフスタイルも含めて考えないと確かに判断しにくいですよね。これは僕に限った話ではないと思いますが、小さな子どもがいる家庭は玩具やモノがどんどん増えていくので大変だと思います(笑)。でもそれは、なるべく多くの選択肢が必要な子どもがライフスタイルの中心にいるから、当然なこと。ウチではそれを見越して必要最低限で部屋をコーディネイトをしていたからこそ、ゆとりのあるスペースが多くあって、そこに娘のモノが足されていっても全然大丈夫でした。むしろシンプルな中にカラフルな差し色が加わり、いい塩梅です。

何かを排除したり、ベースをミニマルに留めておけると、そこにゆとりができる。そうすると次に何を配置するか、あるいはしないのかを考える「きっかけ」が生まれるじゃないですか。そっちのほうがむしろ豊かというか、ワクワクしませんか? なので、現在の自宅は子どもに関する玩具や家具以外については、家具と家具の間もなるべくすき間を空けて、ゆとりのある空間と生活動線を意識しています。

ーライフスタイルもそれに沿って、シンプルな生活に近づけていくと。

そうですね、ただ〝シンプル〟という言葉は実は捉え方が難しくて。単にムダがなく、何の工夫やこだわりもないこととは違いますね。たとえばリビングに置く椅子1脚にしても、シンプルであればあるほど、使っている素材の質やフォルムの美しさはごまかしが利かなくなると思うんです。これは何も高級な家具ですべて揃えるという意味ではなくて、自分が本当に好きなモノや生活のなかで欠かせないものについては必ず人任せにしない、というか。自分の感性と素直に向き合うだけの簡単な話なのかもしれませんが、ライフスタイルもシンプルだから軽いのではなく、シンプルだからこそ重く難しい。なんとなくいってる意味‥わかります? ちなみにウチでは家具も娘が使うことを念頭に選んでます。小さいうちは噛むし汚すしぶつけちゃうだろうし。きっといろんなことがあるはずだと生まれる前に予測して、なるべくメチャクチャにされてもショックが少ない値段感、角の無いデザインで基本的には木でできている北欧系の家具に絞って選びました。

—お住まいについて、こだわりは?

ハコ的な話でいうと、高所恐怖症ということもあり、高いところに住むのは得意じゃないですね。以前タワーマンションの高層階に住んでいたことがあるんですが、どうも落ち着かないし体調もいまいちで調子が出なかったり。そういうのは体のほうから教えてくれますね。

空間的な側面では特に寝室の空間づくりを大切にしています。自分にとって生活のパフォーマンスを向上させるためには、どれだけ睡眠の質を高められるかが勝負だと思っているんです。日没とともに室内の光量を落として、ローソクもセッティングできるようにして、夜9時には眠りの準備をしています。なので、ダウンライトはマストですよね。そして最後にはアイマスクもして、深くリラックスして眠るために香りを嗅ぐことも。

—香りも意識されるんですね。

ええ。プロデュースさせていただいたじげんさんのオフィス移転プロジェクトでもエントランスのところで応用したのですが、目に入る情報だけでなくて、香りってイメージの演出やブランディングにもとても効果的に機能すると思っていて。寝室では、睡眠のスイッチを入れるために活用しています。

そんなちょっとした工夫で、朝4時半くらいに起きるんですが、目がパッと覚めてすぐに行動できます。

なので決して寝室を豪華にしようというこだわり方ではなく、すべて「ライフスタイルの質」を高めるために生活空間を設計しているだけなんですよね。高いお金をかけてインテリアを単にオシャレにすればいいというわけではなくて、当然のことですが、きちんとそこに機能や目的があることも重要だと思うんです。

上質なお手本をみることで
自分の感性が明確になっていく

−インテリアはファッションのように簡単に着せ替えできない側面もあります。無粋な質問ですが、インテリアや生活空間の作り方で、何か参考にされているものはありますか?

人生の先輩ではありますが、家族ぐるみでお付き合いさせていただいている友人で、自分の理想といえる家具や空間で住んでらっしゃるんです。自分にとって大切なことを沢山教えてもらったメンターでもあり、素晴らしい感性も含めて見本としています。

そういった惹かれるモノに出会ったときはただ単に憧れで終わりません。「なんか好き」と感じる場合は、どうして自分は好きなのかを考えて、なおかつ「椅子の配置が本当に素敵だな」とかどんどんそれを手に入れた時に自分だったらどう使うかのイメージを膨らませていきます。そういった感性を言語化するのは難しいですけど、自分の好きなものを少しずつ追求していくのは楽しいです。今では好きなデザイナーですけど、当時は「フィン・ユールとグレーテ・ヤルク、ハンスJウェグナーの家具が好みだなぁ‥もっと調べよ」といった具合に、固有名詞と一緒に調べていくことも当然ありますけど、それ以前に自分の感性を信じて探していきますね。

—気に入った理由を掘り下げて、広げていくような作業ですね。

そうですね。あと家具を探したり感性を磨きたいときは、たとえば世界の高級不動産情報を掲載しているSotheby’sというサイトがありますが、そこで掲載されている世界中の豪邸は、家具が残ったまま部屋の写真を見れたりするので、新しいものを見つけたりインテリアの参考になったりと、見てると楽しいし発見もあるしとにかく勉強になります。おそらく一流のインテリアコーディネーターが知恵を絞った空間も沢山あるはずなので、とてもいい教材だなと思っていて。

家具もそのものを調達できるかどうかは別の話だけど、上質なサンプルをみることで、自分の感性の答え合わせをしていくように、好みが明確になっていく部分もあると思うんです。で、情報の引き出しも増えるので、さっきのお話でいうと「何が足りないか」だけでなく、「何が必要でないか」も何となくわかるようになってくというか。

−目指すスタイルがはっきりしていると、足し引きもしやすいと。

ええ、自分の感性のベースが固まっていると、インテリアも家具や小物を買い足したときに崩れにくいと思うんです。僕の場合は落ち着くことと、娘から目を離してても安心なのが現在は大切なので、木を基調としたナチュラルなカラーといったベースとなる要素があって、そこに差し色の役割を果たす家具を足したりして遊んでも、大きく間違うことは無いですね。

水嶋さんがいつか実現させたい
理想の住居設計とは

—このWEBマガジンの「ミノリノ倶楽部」は、リノベーションを通じて住まいの選択肢を提案していく媒体です。水嶋さんご自身が今後してみたいリノベーションや住居設計のイメージはありますか?

いつか実現できたらいいな、という空間は「最高のウォークインクローゼット」ですね。僕は収集とかにあまり興味はないんですけど、唯一洋服だけは特別なんです。

僕は洋服を通じてこれまで色々な感性や価値観を刺激されてきた経験があって、一方で自分も役者として着飾って前に出たり、アーティストが世に出す人との接触点となる部分を総合的にディレクションするなど、アウトプットが求められる仕事を沢山してきました。間違いなく一流のデザイナーが生み出す作品からのインプットがそういった仕事にもプラスに働きましたし、人との出会いから始まる仕事が多い今は印象にも大きく貢献してくれている。まさに洋服は生活の一部なんです。

広いキッチンで最高の食材を並べて料理をするように、アイランド型で中央に配置された収納付きのテーブルに、気分でチョイスした服を並べながらコーディネートを考えることができる。そんなゆとりのあるウォークインクローゼットがあれば素敵です。

あとは最高の和の空間に最高の北欧家具を合わせていくというのも、いつか子供が大きくなったらやってみたいことの一つです。とっても相性が良いので。

—まさにライフスタイルに根付いた理想の住居設計、という感じですね。

そうですね。でもこれも漠然と考えている理想ではなくて、例の不動産サイトなどをチェックしているときに、とんでもなく広々としたウォークインクローゼットがある家を見つけて、そこからインスパイアされたものなんです。自分が今どういったモノやイメージを求めているかを、ゼロから頭の中だけで創り上げていくのは難しい。でも、お手本となるような情報さえあれば、いくらでもイメージを造形することは可能ですよね。

—ではじげんCLOとして、読者の方にリノベーション物件を見る際のコツを提案するとすれば、どういったことでしょうか?

インテリアの良し悪しとかはご本人次第で正解は変わるので僕が何か言うことではないとして、そこに住んで5年後、10年後、さらに先の生活を想像できるかどうかがヒントになるかもしれないですね。自分の場合も、今後子どもが大きくなったときのことを考えて、外部環境も含めて現在の住まいは決めました。

それぞれご自身のライフプランと照らし合わせて、しっくりくるかこないか。リノベーションは内装もすごく素敵だったり、特徴があって目を引く物件も多いと思いますが、それだけでなく、生活設計を考えた上で「ハマるかどうか」。これは皆さん共通の、外せない条件かもしれませんね。

<リノベーション物件をみてみる(ミノリノ)>
https://menoreno.jp/

次回告知
次回は、住まいづくりのエキスパートと水嶋さんの対談を予定しています。専門家の意見とともに、水嶋さんの考える幸せな生活設計と住まいについてさらに掘り下げていきます。お楽しみに!

<人物紹介>
水嶋 ヒロ(Hiro Mizushima)
1984年生まれ、東京都出身。2005年より俳優として数々の話題作に出演。日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。近年では、語学を活かし米国ドラマ「Girls」(HBO製作)に出演するなど、海外でも活躍の場を広げている。株式会社3rd i connections代表取締役社長。株式会社じげんCLO(Chief Lifestyle Officer)。magellan resorts & trust 株式会社Branding Director。

<撮影協力>
取材・文:田中 雅大(ペロンパワークス)/撮影:MEGUMI(DOUBLE ONE) /スタイリスト:徳永 貴士
衣装:パーカー¥185,000/モンクレール(モンクレール ジャパン)その他私物
/モンクレールジャパン 港区北青山3丁目6番7号 青山パラシオタワー9F 03-3486-2110

<今回のロケ地>

天王洲運河沿いにある倉庫をリノベーションしてつくられたブルワリーレストラン。 目の前には東京唯一の水上ラウンジRiver Loungeもあり、天王洲エリアのランドマーク的存在です。

運河を臨む店内やテラス席では、併設の醸造所で手づくりするクラフトビールやモダンアメリカン料理を楽しめます。 横には系列のベーカリーカフェbreadworksとケーキショップLily cakesも併設され、朝から晩まで水辺のライフライフスタイルを満喫できます。

<T.Y.HARBOR >
https://www.tysons.jp/tyharbor/
東京都品川区東品川2-1-3
03-5479-4555

<​breadworks>​
https://www.tysons.jp/breadworks/
​東京都品川区東品川 2-1-6
03-5479-3666

​<Lily cakes>
https://www.tysons.jp/lilycakes/
東京都品川区東品川 2-1-6
03-6629-5777

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